マンションについてエレベーターに乗っても終始無言。
繋がれた手が、春さんの温もりだけを伝えていた。
繋がれた手に対するドキドキと、無言の春さんに対する不安。
複雑な感情が入り混じって、胸がモヤモヤする。
家にたどり着き、玄関に入ると靴を脱ぎ中に入ったところでようやく春さんが私を見た。
「何度言ったらわかるんだ。なんで逃げなかった」
「は、春さん・・・?」
「なにされそうになったのか、忘れたのか?馬鹿なの?」
男口調の春さんが、矢継ぎ早にそう言った。
私が、迂闊だった。
春さんが怒るのも無理ない。
「ごめんなさい・・・」
「はぁ・・・。なにもされてないか?」
「う、うん」
心配かけて、情けない。
もう心配も迷惑もかけたくなかったのに。


