「やめてください。はなして」 「君が、許してくれるまで離さない」 怖い。 なんなの。 「その手を放せ」 低く咎めるような冷たい声が響く。 縋るような思いでそっちを見ると、春さんが眉間にしわを寄せ立っていた。 「これ以上、沙紀に手を出したら、容赦しない、そう言ったはずだけど」 春さんが怒っているのがわかる。 いつもの少しトーンの高い声色でも、倖也さんと話す普通の声色でもない。 低く鋭い声。 「・・・いたっ」 春さんの登場に動揺したのか、腕を掴む手に力が込められギリギリと痛んだ。