「ン・・・」



いつの間にか眠っていたらしい俺は、身体に感じる重みに視線をおろした。
そこでは、沙紀がすやすやと穏やかな寝顔で眠っていた。


頬には涙の跡が残っていて、そっと気づかれないように触れた。
ピクッとわずかに反応を示したが、ぐっすりと眠っていて気づいていない様子にホッとする。



自分が、眠っていたことに少しだけ驚いた。
でもすぐに、そういえば沙紀の側だと比較的眠れていたことに今更気づく。




「ほんと・・・変な女」




ポツリと呟いた言葉は闇に溶ける。




「う・・・ん・・・」




身じろぐような先の悩ましげな声に、トクンと胸の奥がうずいた。
そのことにハッとし、ぼんやりといまだに夢現だったはずの脳が覚醒する。