「今日は誘ってくれてありがとね」

「うん。こちらこそはなせてスッキリした」




綾乃と食事を終え店の前で立ち話。
話しは尽きずあっという間に時間は過ぎた。

契約社員もほとんど切られ、私のほかにも正社員は何人かクビになった現状は、それまでしていた仕事を残った人で割り振らなければならず一人に負担がかかっているとのこと。
それでも、残業代が出せないから定時で帰れと上から言われ、仕事の量との現状の相違に、不満が溜まっていく一方なんだとか。



それから、圭汰さんの事。
綾乃は自分の事のように怒ってくれて、私以上のキレっぷりだった。



でも、私がビンタをしたその場面をたまたまうわさ好きの女子社員が見ていたとかで、今圭汰さんは“真面目で純粋な守屋さんをたぶらかした悪い男”として有名なんだとか。

真面目で純粋・・・。
多分、目立った恋バナもなく淡々と仕事をこなしていたからこその印象なんだろうな。


そこに関しては、今までの私を褒め称えたい。




「ま、沙紀にはもっといい男いるわよ」

「ありがと。でも、当分恋はいいかな」




つくづく自分の見る目のなさに懲り懲りしたし。