「邪魔したらいけないし、帰るね」

「うん・・・。また連絡するからご飯でも行こうよ」

「そうだね、楽しみにしてるね」



綾乃と別れエレベーターに向かう。
圭汰さん、いなかった。

外回りにでも行ってるのかもしれない。


会ったところで、なんと切り出したらいいんだろう。



昨日、春さんと何を話したんですか。
私の事は、どう思ってたんですか。


うーん・・・。




「―――そう、で、邪魔が入って俺の努力が水の泡ってわけ」



エレベーターのボタンを押した時、ふと声が聞こえた。
この声は、圭汰さん・・・?


エレベーターの奥、ふだんは使われていない部屋の中から聞こえる圭汰さんの声。
声は、圭汰さんだけで、電話でもしているのだろう。