「先輩ご卒業おめでとうございます」



朝がきた。



いつもの清々しい朝なんかではなく、悲しみに暮れる朝だった。



今日、先輩は旅立つ。



この学校から一歩を踏み出して、私たちに背を向ける。



私たち吹奏楽部は、卒業式の進行曲を演奏するため体育館で待機。



最後の最後まで先輩の姿を堪能出来る、素晴らしい席だ。



「ありがとう」


そう言って、先輩は微笑んだ。