とうとう先輩が口を開いた。



「ミルフィーユをフランス語で言うと、ミルは、千、フィーユは、葉なんだ。合わせて千枚の葉」



物知りの先輩はとにかく凄い。



だからミルフィーユって段々と積み重なっているんだね。



みんなでミルフィーユを堪能している時、開いていた窓から風が中に迷い込んだ。



「あ……」



私は小さく呟いた。



風に吹かれて、またもや迷いものがきた。



それは校庭に咲いている桜の木の、花びら。



先輩たちの卒業を祝おうと、もうここまでやってきた。



「そっか、卒業かー」



さり気ない先輩の一言が、私の胸に突き刺さる。



私と先輩が一緒にいれる時間まで、あと29時間。