お皿に人数分のケーキを載せ、私は自分の席に戻った。



「先輩、これミルフィーユ、ですか?」



小さな桜の花びら、1欠片。



中身も桜の葉の味。



切なくて、甘くて、優しくて。



まるで先輩のような味。



「よくわかったな。それじゃあ問題。ミルフィーユの意味とはなんだ」



部員全員に聞こえるように、ぶれない低い声を出した。



誰も答えないまま、1分くらい経っただろう。