貴方の声を聞いた瞬間、心臓が止まってしまうんじゃないかって思うほどドキドキがとまらなかった。

 貴方でいっぱいの頭は、何も考えることができなくて、制御がきかなくなった口からでた言葉は、自分でも驚くものだった。


「あの…貴方が好きだです。…私と付き合ってくれませんか…」


  言ってしまったあとに回転しだす頭は、もうどうすればいいかわからずただおどおどとしてしまう。

 情けない声が口からでて、

「あのっ、そのっ」

  なんて、言葉しか口からは出てくれない


そんなとき、ふわりと鼻をかすめる煙草のにおい、何かに包まれているように暖かい体。



「えっ」

確かに私は、貴方に抱き締められていた。

 ポンポンと一定に私の背中を優しくたたく貴方の手

 さっきまで貴方が吸っていた煙草は、地面に落ちていて、まだほんのり赤い。

「またな…」

 貴方の温もりが離れて、そして聞こえた低い声。

 それは、聞く人によっては震えるほど低い声であったり、私にはとても居心地のよい低い声でもあった。


 そして貴方は、私の告白の返事もせずにこの公園を後にした。