化け物カレシ

「何やってんの、氷蓮」

スッと静かに扉を開けて、両手に花を抱えた暮内が姿を現した。怪訝そうに眉をひそめ、瀬川をたしなめる。

「空……!」

一方瀬川もまた、さっきまでの表情とは打って変わって怒りをあらわにしていた。

「あ、先輩!目が覚めたんですね!よかった……」

瀬川を避けて私を見つけ、安堵の息を漏らす。

--心配かけてたかな……?

「お前……っ!」

そんな暮内に唐突に胸ぐらをつかみにかかった瀬川。ガタガタと椅子の音が響き渡る。

そんな瀬川に全く動じない暮内。まるで想定内だとでも言うように。

「危ないなぁ……何するんですか、瀬川先輩」

「お前…っ!どの面下げて、ここに……!」

瀬川はもう、我を忘れているようだった。きっと今の瀬川には私は映っていない。

あんなに呑気に、マイペースにのほほんとしていた瀬川。本当はこんなにも感情が豊かだったんだ。