空白の数秒が過ぎた後、瀬川はゆっくりと口を開き語るように話し出す。
「私も知ってる話……?」
その私の様子がおかしいとでも言うように目を細め、肩をくすめて笑う。
「そう。昔々、神様が地球を創るくらいの頃。出来上がったばかりの地球に2人の男女が居ました」
確か、創世記。キリスト教の話だったはずだ。
「その2人はアダムとイヴ。だけどその2人は神様を怒らせてしまった。一般的に知られてるのはその後、苦労と痛みが与えられたって言われてるんだよね。」
あまり詳しくは知らない。それもノアの方舟とか、蛇が唆したとか断片的で曖昧な記憶だけ。
「でもね、本当の物語は違う。本当はアダムがイヴを殺した」
「え……?」
唐突で物騒で、聖書にそぐわない話。そしてまるでそれはおとぎ話などではなく、事実だと言わんばかりの口調。私の頭はそこまで優秀じゃない。
「アダムに殺されたイヴはアダムを憎み、恨み、そして呪った。それを見た神がイヴを哀れに思いアダムに罰を与える権利をイヴに渡した。イヴは考えた末に決めたのが『不老不死』」
ここまできてようやく少しだけ、話が見えた。つまり恭一郎は、瀬川はその罰に関わっている。でも何故殺さず生かしたのだろう。
「なんで?憎んでたんでしょ?なのになんで……」
狼狽えるように問いかける私にさぁ?と首をかしげる。
「なんでだろうね?でもイヴはアダムを不老不死にした。だけど――」
言葉を区切り、何か躊躇うように目を伏せる。
こうしてみると瀬川のまつ毛は長く綺麗だ。瞳に映る景色も瀬川を引き立てるだけにしか思えない。
「アダムは不老不死を他の人に継承した。何百年の月日の末にね。そしてイヴの後を追った」
「え?」
まさかの大どんでん返し。聞きたいことは沢山あった。でも何より、何故イヴの後を追ったのだろう。
「アダムはね、苦しむイヴを見続けるのが嫌だったんだよ。そしてアダムが死んだ後にイヴもその事を知り、不老不死を継承する事を許した。作られてしまった呪いは消せないからね」
その継承者が恭一郎で、瀬川だということ。だから死ねないはずの恭一郎が死んだんだ。
『譲った』というのはそういう事だったんだ。驚きよりも納得が大きかった。
「私も知ってる話……?」
その私の様子がおかしいとでも言うように目を細め、肩をくすめて笑う。
「そう。昔々、神様が地球を創るくらいの頃。出来上がったばかりの地球に2人の男女が居ました」
確か、創世記。キリスト教の話だったはずだ。
「その2人はアダムとイヴ。だけどその2人は神様を怒らせてしまった。一般的に知られてるのはその後、苦労と痛みが与えられたって言われてるんだよね。」
あまり詳しくは知らない。それもノアの方舟とか、蛇が唆したとか断片的で曖昧な記憶だけ。
「でもね、本当の物語は違う。本当はアダムがイヴを殺した」
「え……?」
唐突で物騒で、聖書にそぐわない話。そしてまるでそれはおとぎ話などではなく、事実だと言わんばかりの口調。私の頭はそこまで優秀じゃない。
「アダムに殺されたイヴはアダムを憎み、恨み、そして呪った。それを見た神がイヴを哀れに思いアダムに罰を与える権利をイヴに渡した。イヴは考えた末に決めたのが『不老不死』」
ここまできてようやく少しだけ、話が見えた。つまり恭一郎は、瀬川はその罰に関わっている。でも何故殺さず生かしたのだろう。
「なんで?憎んでたんでしょ?なのになんで……」
狼狽えるように問いかける私にさぁ?と首をかしげる。
「なんでだろうね?でもイヴはアダムを不老不死にした。だけど――」
言葉を区切り、何か躊躇うように目を伏せる。
こうしてみると瀬川のまつ毛は長く綺麗だ。瞳に映る景色も瀬川を引き立てるだけにしか思えない。
「アダムは不老不死を他の人に継承した。何百年の月日の末にね。そしてイヴの後を追った」
「え?」
まさかの大どんでん返し。聞きたいことは沢山あった。でも何より、何故イヴの後を追ったのだろう。
「アダムはね、苦しむイヴを見続けるのが嫌だったんだよ。そしてアダムが死んだ後にイヴもその事を知り、不老不死を継承する事を許した。作られてしまった呪いは消せないからね」
その継承者が恭一郎で、瀬川だということ。だから死ねないはずの恭一郎が死んだんだ。
『譲った』というのはそういう事だったんだ。驚きよりも納得が大きかった。

