化け物カレシ

無愛想に見えて案外気を使っていたり、ヘラヘラしてるのに案外傷ついていたり、強気なくせに案外脆かったり……。

きっと彼も瀬川も同じだ。全く違うのにどこか似ている気がしたのはそのせいだろう。

「恭一郎の代わりなんでしょ?なら早く屋敷に行こう」

ほんの少し、瀬川が驚いたように目を見開いたのはきっと気のせい。その後口端が少し上がったのも。

昨日とはまるで反対。私が瀬川を先導して私が道を、行く場所を決めた。こんなにも待ち遠しく胸踊るのはいつぶりだろう。きっと恭一郎でなければこんな気持ちにはならない。

「伊吹、なんか昨日と全然違う」

私と同じなんだ。彼も瀬川も私も……。相手を慎重に見計らっている。

「伊吹は恭一郎が好きなの?」

さっと風が頬を流れる。聞かないふりもできただろう。でも私はそれは私が私の思いに嘘をつくようで嫌だった。

知ってたの。私の態度があからさまなことも、実はすごくわかりやすい人間だということも。

「好きだよ」

前を向いたまま答える。ごく当たり前のことのように。

「……そか」

瀬川はどこか寂しげに短く答えるだけだった。

「恭一郎のことを聞けたら、僕はいらないよね」

自嘲気味な笑みを浮かべた瀬川はやっぱり恭一郎と似て見えた。瀬川の初めて見た笑顔がこんな作られたものということに少なからず傷ついた。

何故そんな顔をするのか、それすら私にはわからなかった。いつかの恭一郎を見るようで、見ていられなかった私は運ぶ足を早めた。

「伊吹も知ってる話だよ」

早くなった私を追いかけるわけでもなく、少し距離があいた後ろで瀬川は急にぽつりと呟く。