その日から私は、先生のことを考えるのをやめるようにした。
必要以上に話しかけることもやめた。
ある日、授業の一環で石川県に研修に行く事になり、その日まで毎日、放課後残って打ち合わせをしたり発表の練習をしたりすることになった。
はあー、部活行けない。
先生のこと嫌いになったはずなのに、先生に会えないことが寂しかった。
ちょうどその時期に、市の体育館での練習が増えて、学校が終わるとみんな市の体育館まで走って移動していた。
マネージャーは荷物があるから、行き帰りは先生の車。
たまたま朝、先生と会ったから、今日も放課後居残りあるので部活遅れて来ます、て報告をしたあとに、ダメもとで先生に、
「歩いて来なきゃだめですか?」
って聞いたら、
「うん、ファイト!」
って。
ですよね。
でも放課後、まさかのことが起きた。
ホームルームが終わって、帰る準備をしていたら、友達が、
「音羽〜、鈴木先生が呼んでる」
と言って私を呼びに来た。
なんだろう。
先生のところに行くと、
「居残り何時くらいに終わる?」
って。え?まさか?
「多分6時くらいかな?」
「来れたら迎えくる。来れなかったら、歩いてきてね」
え?
わざわざそれを言いに?
凄い嬉しかった。
迎えに来てくれる。
だったら居残りなんて何倍だって頑張れる気がした。