「娘の復讐以外じゃ働かねぇ奴が、随分と仕事熱心じゃねぇか」

ケッ、と。

嘲るように耕介が言う。

「テメェと一緒で鏑木は生意気なんでな、ブタ箱ぶち込んで泣き面拝みたいだけだよ馬鹿野郎」

我妻が言い返す。

「だったらさっさと逮捕してやりゃいいじゃねぇか。別件でも何でも、引っ張るのは簡単だろ」

「それが出来たら苦労はしねぇんだよ馬鹿野郎」

耕介の言葉に、我妻は返した。

「テメェも見ただろ。奴は命令するだけで、実行役は下のモンだ。半グレは準暴力団扱いだから、暴力団新法は適応されねぇ。実際に手を汚さない鏑木を、警察は逮捕できねぇんだよ」