下の階が騒々しい。

ソファに座っていた鏑木は。

「お邪魔」

用心棒役の店の黒服を引き摺ってVIPルームに入ってきた耕介に目を見張った。

あの黒服も東京連合のメンバーだ。

かなりの腕自慢なので、あのポジションを与えていたのだが。

「オタクが鏑木 薫?」

「…何だテメェは」

耕介を睨む鏑木。

「おっとコイツは失礼。名乗るのが遅れました」

背広の内ポケットから名刺を出した耕介は、鏑木に投げ渡す。

目の前のテーブルに落ちた名刺。

それに。

「!」

鏑木は唾を吐きかけた。

「そうか、お前が例の探偵か」