以前はこの事務所にも、他に何人かの一般人が出入りしていた。

が、大学受験や卒論を控えて忙しくなってきたり、長期出張に出ていたりで、最近は遠ざかってしまった。

足繁く通っているのは雛罌粟だけだ。

「お前もマメだね…高校生くらいだったら、他に楽しい事あるだろうに…」

雛罌粟の買ってきたチキン南蛮弁当を食べながら言う耕介。

「援交はもう飽きた…」

ミックスフライ弁当を食べながら雛罌粟が返す。

「お前が楽しいのはヤル事だけかよっ」

思わずツッコむ耕介。

「そうは言うけど…」

弁当をテーブルに置き、雛罌粟は立ち上がる。

しどけない仕草で、椅子に座る耕介の膝に腰掛け。

「探偵さんだって嫌いじゃないでしょ…?」