異変は、その時に気付いた。

「……」

事務所へと帰る道中、近隣住民達から、やたらと見られている気がする。

白い目で見られ、耕介達が通る度にヒソヒソと話をする。

それは、その日だけに限った事ではなかった。

毎日のように探偵事務所に通う雛罌粟。

その雛罌粟にも、彼らは白い目を向ける。

ヒソヒソと、話をする。

明らかに、何か悪い噂をしているのは確かだった。

「……」

居た堪れなくなりながら、雛罌粟は足早に探偵事務所の中へと入っていった。