「まぁ取り敢えず、さっきの奴が事務所に火ぃつけるらしいし、俺らは傍観してようや」

もう一度ボトルをラッパ飲みする鏑木。

彼らは暴力団ではない。

暴力団新法の適応外であり、下の者が犯罪を犯しても、そのトップにまで責任が及ぶ事はない。

例え鏑木が命令して、青年が放火をしても、証拠が立件できない限りは『青年が勝手にやった事』で済まされてしまうのだ。

彼が蛮勇を轟かせていながら、極道と盃を交わす事なく東京連合のOBを続けているのはその為だ。

法の目を掻い潜りながら、鏑木は犯罪行為を繰り返していた。