不良探偵

鏑木は立ち上がり、青年の髪の毛を鷲摑みにした。

「東京連合が喧嘩で負けて、ケツ捲る訳にゃいかねぇんだよ。わかってんのか?」

「で、でも鏑木さん…あの探偵、喧嘩めちゃ強くて…」

「頭使えよ馬鹿野郎!」

鏑木は青年を殴り飛ばす。

「喧嘩で勝てねぇんなら放火するとか轢き逃げするとか、やり方は幾らでもあんだろうが!」

平気でそんな事を言ってのける鏑木。

この男の凶悪さが窺える。

「わ、わかりました…奴の探偵事務所燃やします…」

小さく呟く青年。

「言っとくが」

鏑木はまたソファに座った。

「俺は独り言言っただけだぜ?お前に『放火しろ』なんて指示はしてねぇからな?」

あくまで罪は青年に着せる。

狡猾な男だった。