「調子ん乗んなよ、探偵」

男達を掻き分け、青年が前に出る。

その手には、バタフライナイフ。

遠心力を利用した、素早い片手開閉操作で刃を出す。

そのナイフ捌きに恐れをなす者もいるかもしれない。

が。

「遠心力を利用した素早い開閉は技術を要するが、見栄えする装飾的な操法だ。言ってみりゃ宴会芸だな。喧嘩の強さとは何も関係ねぇ」

ビビる事なく、耕介は嘲笑うように言う。

「口が減らねぇな、探偵」

青年は素早くナイフを一振り!

瞬きする間もなく、耕介の頬に傷が刻まれた。

「じゃあ宴会芸でぶっ殺してやるよ」