駅前。

耕介は牛丼屋のドアを開ける。

「いらっしゃいませー」

店員の声に迎えられながら、カウンター席に座る。

メニューにざっと目を通しながら。

(今日はこれにするか)

素早く注文を決定する。

即断即決が耕介のモットーだ。

「ご注文はお決まりでしょうか?」

近付いてくる店員に対し。

「「キムチ牛丼ツユきりメガ盛り豚汁セット」」

声を揃えて言う、耕介ともう1人の男。

ハッとして振り向く。

…そこに座っていたのは、紺のドカジャンを着た中年男だった。