「え…?」

雛罌粟は小首を傾げる。

「探偵さんは、所在は分からなかったって言ってたから、がっかりしながらここに来たんだ。なのにまさか、この事務所にいるとは思わなかったよ」

事務所内に足を踏み入れる青年。

訳も分からないまま、雛罌粟は後退りする。

「随分探したんだぜ?俺だけじゃなく、俺の仲間にも頼んで、都内を方々探し尽くしたんだけど、見つける事が出来なくて…仕方なく人探しのプロの探偵に依頼したんだけど…」

話しながら近付いてくる青年。

雛罌粟には何の事やらわからない。

そもそも、この青年が誰なのかさえ知らない。