そうやって耕介が牛丼を食べに行ってから、僅か10分後。

「あれ…」

事務所を訪れた雛罌粟は、ドアが施錠されている事に気付いた。

「探偵さん…留守か…」

小さく呟き、少しばかり唇を尖らせる。

最近仕事のせいで、構ってもらえなくてつまらない。

耕介の仕事が繁盛するのはよい事なのだが、何となく釈然としなかったり。

「…少し待たせてもらおうかな…」

預かっている合い鍵で中に入る雛罌粟。

頻繁に訪れているせいで、勝手知ったる探偵事務所だ。

ソファに座り、しばらくボンヤリする。

耕介は何処に出かけたのだろうか。

30分も待てば、帰ってくるだろうか。