「重傷だ」

倉本が言う。

「六本木で張り込みしている最中に、鏑木らしき男の運転する車に撥ねられたらしい。我妻刑事をボンネットに乗せたまま暴走、信号機に激突した際に我妻刑事は振り落とされ、路面に叩きつけられた」

「くっ…ひでぇ…」

耕介の拳が、ギュッと握り締められる。

と。

「………………何してやがるんだ…………」

ベッドの方で小さく声がした。

見れば、我妻が薄く目を開けている。

「……雁首揃えて集まりやがって……俺が死ぬと思って…笑いに来たか…?」

「貴方、皆さん心配で来て下さったのに」

我妻の妻が窘めるように言った事で、我妻は口を噤む。