耕介と雛罌粟が、病室に駆け込む。

病室には既に、巽と倉本の姿があった。

ベッドに横たわる我妻の姿は痛々しい。

顔には絆創膏、頭には包帯が巻かれている。

我妻のベッドの一番近くには、2人の女性。

妻と娘だろうか。

「……」

確か我妻の娘は、引き籠もりのような状態だったと耕介は聞いている。

幼い頃に男に拉致され、数年間も監禁生活を余儀なくされていた。

倉本達に救出されたものの、その影響から精神的外傷を負い、今も後遺症で自室から一歩も出ずに社会復帰できずにいると聞いた。

その娘が、父の大怪我の報を聞いて、病院に来ている。