アイツの顔は覚えている。

探偵が初めて鏑木と対面し、乱闘になった時に踏み込んできた刑事だ。

「アイツも『野獣』の1人スよ。確か名前は我妻…元マル暴の刑事らしいス」

メンバーの1人が鏑木に教える。

「あの野郎がこのクラブの近くに張り込んでやがるから、仲間が次々と…!」

鏑木は歯噛みする。

目障りな刑事だ。

奴が東京連合のメンバーを次々とパクっているに違いない。

あの探偵とも顔見知りのようだったし。

「どうします、鏑木さん」

メンバーの言葉に。

「よく見とけ」

鏑木は言う。

「東京連合のやり方を見せてやる」