昨日の朝、耕介は朝食を食べなかった。

今日の夕食も、耕介は食べなかった。

訊いてみれば、『ちょっと食欲がなくてな』との事。

真夏でも夏バテ知らず、食欲減退とは無縁の健啖家である耕介が、である。

手付かずで残ってしまったコンビニ弁当を見ながら、考える雛罌粟。

…耕介はいつもの窓際の椅子に座ったまま、腹の辺りを片手で押さえている。

お腹の具合が悪い?

違うだろう。

賞味期限切れのものを食べても何ともない強靭な胃袋の耕介が、腹を下すなど考えにくい。