恋結び




大切な親友との関係を
私は壊したくなくて
ずっと知らないフリしていたんだ。



授業中
気づくと彼を見つめていたり
放課後
グラウンドを走る彼を
ボーっと目で追ってしまったり
親友が彼の話をするたびに
上手く笑えなかったり…



私って自分の気持ちに鈍いなぁ〜…。
なんて。



でも、この気持ちを
ちゃんと伝えないと。



大切な親友に
ずっとずっと言えなかった
彼へのこの気持ちを
ちゃんと伝えなきゃ。



…………




私は
家へ帰ったあと
急いで親友に電話をかけた。



ープルルルルル…

「もしもし。大会おつかれ!どーしたの?」



「あっ、あの…さ…。私話さなきゃいけないことがあるんだ。」



「えっ?何?いきなり。怖いんだけど。」



「…私…その…あのねっ、好きなんだ。彼のことが…。」



「………。」



「ごめんっ!いきなりこんなこと言ってっ!親友の気持ち知ってて、こんなこと言うなんて最低だよね!分かってる。分かってるんだけど…どうしても伝えたくて。親友なのに、隠しておくのは嫌だから…。」



「……うん、知ってたよ。」



「えっ!?」



「知ってたよ。あんたが彼を好きなこと。」



「な、なんで!?」



「だってさー、あんた分かりやすいし。それに、あんなにステキな人、好きにならない人の方がおかしいでしょ!」



「…ごめん。」



「まったく〜、あんたは本当にバカ正直だね!今までみたいに気づかないフリしてればよかったじゃん。……でも、まぁ…好きになっちゃったなら仕方ない!お互い頑張りましょうよ!今日からライバルってことで!」



「うん、あたしバカなんだ…。ごめんね、ありがとう。」



「あっ、でも!親友だからって手加減はしないよー!覚悟しといてね?笑」



「うん、分かった!精神鍛えておく!笑」





親友の精一杯な
強がりな気持ちが
電話越しに伝わってきて
胸が張り裂けそうになった。



だけど
私が諦めたら
「あんたの気持ちはそれまでか」って
怒られる、きっと。



親友だからこそ
正々堂々と勝負しなきゃ!



私達はこれまでも
たくさん
好きな人が被ってきた。



どちらかが好きになると
もう一方も恋におち
また、どちらかが
恋におちると
もう一方も好きになる。



そんなことの繰り返しだから
こんなもんで
私達の友情は終わらない。



そう信じたかった…。