恋結び




一通り仕事も終わり
残すは長距離走の決勝のみ。



長距離走の決勝は
各学校の先生方が取り仕切るため
私達は自分の学校のベンチへと戻り
決勝を応援することになった。



そして、ついに決勝。



一段と緊張感が増し
各学校の応援にも熱が入り
会場も盛り上がっている。



スタートラインに立つ彼は
普段教室では見ない
とても真剣な眼差しで
ただただ
まっすぐに前だけを見ていた。



そんな彼の姿に
私は思わず息を飲んだ。



そして
一瞬にして静まり返る会場。



………



「いちについて……よーい……っ!」

ーパンッ!!



ピストルの音と共に
選手達が走り出し
会場がたくさんの歓声に包まれた。









彼は順調に1位をキープしている。



私も気づけば
自然と手に力が入り
彼に声援を送っていた。



そして
ゴールまであと100メートル…



2位の選手が
彼にぴったりとつき
今にも抜かれてしまいそう…!



私は祈るように
手を合わせ
思いきり叫んだ。



「負けるなーっ!!負けるなーっ!!行けぇーっ!!!」



彼に届け!
彼に届け!



そう願いながら
心の底から叫んだ。