5月上旬、とうとう宿泊研修の日がやってきた。あまりにも楽しみすぎてよく寝られなかった。
 今日は、レクリエーションをしたり、遊んだり……。しおりを見るだけでテンションが上がってくる。いつものように笑い合い、楽しいときを過ごせるのがとても幸せな時だった。
 だが、楽しい時間は経つのが早すぎる。あっという間に昼が過ぎ、自由休憩に入った。自由といってもこの7人との行動は変わることがなかった。そこは、私が安心できる自分の居場所であった。
 自由休憩の時間が長いため、みんなで鬼ごっこをして遊ぶことにした。かなり、幼稚な遊びと思えるが、この7人となら楽しいはず。始めの鬼は蒼太君に決まった。1分したら来る!
 まあまあ走りに自信があった私はゆっくりと身を潜め、鬼の動きを確認する。鬼は私のいる方向には向かっていないことがわかると、ゆっくりと立ち上がる。
 すると、少し先に香菜がいた。そっちの方に向かおうと走っていると、
ドカッ
「痛った~!ごめんなさい。」
誰かにぶつかってしまったのだ。
「いいや、大丈夫。怪我はない?」
そう言われ、上を見上げると、キラキラした男の子が立っていた。
ドクン
ん?なんか、胸が痛い。あれ?
「うん、大丈夫。そっちこそ大丈夫?」
「あー、うん。男をナメてもらったら困りますよー」
と言ってニコッと笑って見せた。
ドクン、ドクン
胸がどんどん締め付けられていく。
「あー、名前聞いとこっかな。俺は高梨健吾。」
「私、」