照り付ける太陽、真っ青な青空の下でヒラヒラと桜が舞い踊る頃。中学生のスタートを迎えようとしている。
 私(寺坂日和)はどうしても行きたかった中学校を受験し、見事ギリギリで受かったのだ。
 受験制の為、知っている人はほとんどいない。でも私にとっては都合がよい。知らない人と仲良くなった方がなんだか楽しい気がしたし、自由に過ごせる気もした。そんな気持ちをもちながら今日の入学式に出席した。
 入学式の前には各クラスごとで担任の先生の話がある。
 当たりを見回すと当然のように知っている人など一人もいなかった。隣の男の子はかわいい系、前の女の子は大人しそう、その前の女の子は長身でスタイルが良くてちょっときつそう。
 先生の話を聞かずに、人間観察ばかりしていた。カッコイイ人もいればオタク系の人もいる。賢そうな人もいればバカっぽい人もいる。かわいい人もたくさんいた。このクラスの中で1年過ごすんだ。なんだか不安になってきた。みんなはもう友達がいるみたいだけど私にはいない。これからどうしていこう……。急に友達の作り方を忘れた。
 そんな不安を抱えながらも入学式は淡々と進み、気付けば家に帰っていた。
相当不安が大きかったのだろう。入学式の事を何も覚えていなかった。
 こんなことで大丈夫だろうか…。いいや、弱気になったらダメだ!あんなに行きたかった中学なんだもん。そう何度も自分に言い聞かせた。何度も言い聞かせることで自分の中の不安を取り除こうとしていた。
 夜遅くまでそんなことを考えていて、本当に楽しい中学校生活が送れるのだろうか……。みるみる不安で一杯になってしまった。