私の隣の谷田さんはかなり酔っぱらっていた

直也が私が谷田さんを好きな事をふざけてガンガン伝えるから

酔っぱらいの谷田さんは気をよくしてかなりご機嫌になっていた

テーブル下の見えない所で私の手を握ってきた

ドキッとして谷田さんを見るとめちゃくちゃ寝ている

ちょっと!!私、飲み屋のおねえちゃんじゃないんだけど!!!!

なんて思いながらも手を握られた事に嫌な気はしなかった私は

そのまま寝てる谷田さんに手を握られるがままにこの時間を過ごした







…………






「あー!!!良かった!!!おいしかった~俺また来ると思う」

直也が満足した様子で私に礼を言ってくれる

「気に入ってくれてよかったわ」

直也から高評価を受け、私もいい気だった



たまに寝てしまって意識を飛ばす谷田さんをからかったり放ったりしながら私達は深夜まで楽しんだ


谷田さんも外に出てだいぶ意識を取り戻してきたみたい

谷田さんはかなり飲んでた

全部、谷田さんの奢りになってしまったのだけど

「あんまり会社で飲みに出ないから今日よかったなー!!!楽しかった!!」

「ですよねー!!また来ましょ!!次は僕ら3人が谷田さんにご馳走し返しますから!」

谷田さんの言葉に直也がやんわり次の約束をほのめかしてくれた



帰りの直也の車で

隣の谷田さんはまたしれっと私の手を握る

まだ酔ってるのか私の事、飲み屋のおねえちゃん的な都合良いように思ってるのか

いや、もしかして私の思いを利用してラッキーとか思ってるのかはたまた

相手はどうせ既婚

彼氏の拓斗には悪い気持ちはあったけど

会社の飲み会で安野さんに肩を抱かれるくらい普通にあるから

その程度のものだと現実的にとらえる自分と少し期待してしまう正反対な自分がいた




「はい、着いた!お疲れ~」

もう遅い時間だったからか直也は一番に私を送り届けてくれた

行きに拾ってもらった待ち合わせ場所で降ろしてもらう

「谷田さん、麗奈の家まで送ってあげてくださいよー」

直也が谷田さんに言った

「いやいや、もうすぐそこですから大丈夫です!!」

直也の粋な計らいとは言え谷田さんに悪かったので私は断った

車から降りようとする谷田さんは私に断られちょっと困っていたけど直也に

「こんな遅いし何かあったらどうするんですか谷田さん~??」

と、わざとらしく言われて一緒に降りてくれた


家付近まで一緒に歩いてもらう

すぐ着く

本当にすぐだ

「今日は来てくださってありがとうございました。しかも送ってもらって…」

「こっちこそありがと。誘ってもらってよかったよ」

谷田さんが喜んでくれたのが嬉しかった

「ここで良いです。ありがとうございます。また会社で」

今日は週末

また谷田さんに会えるのは来週の月曜日だ

別れ際に谷田さんは私の頭をポンポンと撫でてくれた

谷田さんはその後、一瞬動きが止まったけど何もしないで私から離れた

数回振り向き手を振って直也の車がある場所まで帰っていった

私も手を振りその後ろ姿を見えなくなるまで見送る

頭撫でた後の谷田さんを思い出す

あの後何かしようとしたけど理性で止めてた感じがしたから

谷田さんは私に何がしたかったの

二ノ宮さんが美希を抱き締めたみたいに……?

やっぱり少し期待した私って谷田さんに憧れすぎて狂い始めてる

今日の思い出を胸に閉じ込め

ドキドキを押さえて家に帰った

時刻は深夜の3時

その日はそのまますぐ眠りについた