待ちに待った当日


いつもは残業する会社を定時きっかりに出て

急いで家まで帰る

後2時間くらいしたら直也が迎えに来てくれる

直也はそれぞれ自宅に車を置きに帰る梅崎くんと谷田さんを乗せて私を迎えに来てくれる予定だ

私は数日前から決めていた私服に着替えて髪も巻き直して……

直也から言わせれば会社の人と集まってご飯するだけなのに

私はいつも以上におしゃれしていた


しばらくして直也からメールが入る

『今、谷田さん拾った』

谷田さんの家から私の家は車ですぐだ

私は急いで待ち合わせ場所に向かう

ドキドキしながら直也達を待っていた

来た!!!見覚えのある車

私の近くに来た車の後ろの席に乗り込む

同じ後部座席で隣には谷田さん

「お疲れさまでーす」

緊張を隠して明るく挨拶

「おまたせー」

直也がこっちを振り向き言う

「お疲れ様です」

梅崎くんも

「お疲れ様」

最後に谷田さんが少し照れたように言った

私も会社以外で会うのは何だか恥ずかしくてニコッと笑って頭を下げた


お店の場所を私がナビしながら向かう

皆知らない店だって言うからでかしたな、私!!




お店の駐車場に車を止め谷田さんを先頭に向かう

「予約、樋山ちゃんの名前?」

「は、はいっ!!!!」

谷田さんに聞かれてちょっと緊張

谷田さんがお店の人に予約の件を伝えてくれた

そんな谷田さんの私服姿にうっとりする

やっぱりスタイル良すぎてかっこよすぎ…





席は予約の通り個室で直也が私を谷田さんの隣に座らせてくれた

私の向かえ席は直也

谷田さんの向かえは梅崎くんだ


ドリンクを先に注文して乾杯する

運転手の直也以外はとりあえずお酒を頼む事に

直也は相変わらず序盤から私達をからかうもんだから恥ずかしくてたまらない




谷田さんとご飯をしてわかった事がある

谷田さんは私といる時の何となくクールな感じと直也達後輩といる時とはまた違っていた

お酒の力もあるのか谷田さんはだいぶおちゃらけで

そんな谷田さんを見て直也達はゲラゲラ笑ってるし



谷田さんにいつも私が見てる黙々と仕事に向かう真面目な姿は少しもなかった

直也も普段から相当面白いキャラだと思っていたけど

その直也をゲラゲラ笑わせるだなんて…



初めて見た谷田さんの本当の姿が嬉しかった

この日までに少しずつ距離を詰めたつもりだったけど

谷田さんの事少しはわかってきた気がした