November love





「結局、今日中に谷田さんに話をつける事はできなかったなぁ」

その日の夜、終業後

私は会社のロッカーで帰り支度をしながら凹んでいた

今日の様な絶好のチャンスは今度いつあるかわからない

残念な気持ちを引きずったまま更衣室を出た途端

バッタリ出くわしたのは

谷田さんだった

こ、これは最後のチャンスだ!!!!

谷田さんは一瞬ビックリしてたけど笑顔でお疲れ様と言ってくれた

私は谷田さんの隣に並んで他愛ない話をしながら一緒に帰る事にした

私と谷田さんは今日は遅い終業で

後残っているのはいつも遅い営業マン数人くらい

しばらく駐車場には誰も来ないだろう

私と谷田さんは駐車場で立ち止まって話をしていた

最後のチャンスとは言えどうやって切りだそう

直也が言うようにホントは行きたいはずって私も思ったけど

もし勘違いだったら一回断った話をしつこく誘われたらウザいよね…

私はどうしたらいいかわからなくなっていた


「樋山ちゃん、目めちゃくちゃ大きいな」

「え…そ、そうですか!?」

急に谷田さんが私を誉めるから恥ずかしくて

谷田さんを見たら私の目をじっと覗き混んで来る

ドキドキしてるのが伝わったのか一瞬変な空気になったのを谷田さんがかき消した

「あの話だけど…やっぱ飯行くか」

小さく笑って私に言った

「ぜひっ!!!ぜひ行きましょう!!」

「そうだよな…行っちゃうか」

谷田さんは嬉しそうに笑ってくれた

「行っちゃいましょう、行っちゃいましょう!!!!やったーーーー!!」

私は万歳して喜んだ

「じゃあ、塔野にメールしておくようにするから」

直也への連絡は谷田さんに任せよう

「ありがとうございます!凄く嬉しいです」

「ホントはさ、行きたいなって思ったんだけど年の離れた俺が参加するの変かなと思って」

「そんな事ないですよーただの会社仲間の集まりじゃないですか」

「うん、じゃあ楽しみしとくよ」

私のミッションは無事に終わったのだ

谷田さんは急にまた私の目をニコニコしながら覗き混んできた

「やっぱりおっきいなぁ」

「………ありがとうございます」

わざとだろうか…顔が凄く近い

キス…されるかと思った時

見つめていた谷田さんの目から私は目を反らした

暗かったからよかった

きっと私、赤くなってるんじゃないかな

その後もまた他愛ない話をして結局遅くまで話し込んでしまった


谷田さんは時折じっと私を見つめる

何だろうこの感じ…何だか変な感じがする

いつもと違って

今まで谷田さんと数回こうやって一緒に帰った時とは違う

凄く、谷田さんが近くに感じた




この時、私はこれから先に起こる私と彼との秘密の繋がりを

少し予感した気がした