その夜、私は考えた
いつからか会社の中で谷田さんのお気に入りは私って“設定”ができていて
私はそれに便乗した
谷田さんは私の気持ちを本気ととらえるかノリととらえるかはわからないけど
妻子持ちの谷田さんに、彼氏持ちの私
本気半分ノリ半分くらいでとらえてもらうのがちょうどいいと願った
谷田さんはあの時はっきり言った
妹みたいでかわいい…と
私は好きだけど妻子持ちの男性に本気になれるくらいの勇気はなくて
私にとっての谷田さんは憧れ以上の存在にはしてはいけないと思った
谷田さんはノリでもいいから私の気持ちをわかってくれてて
私を妹みたいに可愛がってくれて
今の私にはそれが幸せな関係だと思った
谷田さんは私がこの会社で頑張っていこうと心に決めさせてくれた…
私を支えてくれた凄く大切な存在の人だから
私は彼氏がいる身で妻子ある人に告白したのに
何の感情かわからないけど何だか素直に清々しかった
私は次の日、営業課長にお礼を言った
「お陰さまで昨日はいい時間を過ごせました」
嬉しそうな私を見て満足してくれたのか
「礼は体で示してや~」
っていつもの冗談
「もーーっ!!!!」
私は怒ったフリをして営業課長は爆笑していた
営業課長は女たらしだ
色々噂を聞いたこともある
私と同い年くらいの娘がいて
あの年でモテモテの現役の遊び人なのだ
気を付けないと本気で迫られる可能性もなきにしもあらず
もちろんそこに恋愛感情はない
あの人が求めるのは体だけの関係