そんなある日、いい加減な営業マンのせいでひどい目に遭わされた

物凄く重たい商品をお客さんが直接受け取りに来るって約束を交わしてそのまま出ていってしまったのだ

あの営業マンの相方は私

在社している私が責任持ってやりとげなければならなかったがとても自分一人で出来る事ではなかった


私が倉庫で悩んでいると谷田さんが声をかけてくれた

かくかく然々、相談していると自分の仕事を止めて私に手を貸してくれた

と、言うか商品の重さが半端ないだけに私には何もできず一人でさっさとこなしてくれたのだ

谷田さんは彼の部署の責任者だからいつも仕事いっぱいで走り回ってて

それなのに私のためにかなりの時間を費やしてやり遂げてくれた

大きな荷物を一人で抱えたり

お客さんのトラックの荷台に身軽に飛び乗り商品を固定する姿に圧倒された

かっこよすぎたのだ……

お客さんも圧倒された表情で帰っていった後、私は谷田さんに深々と頭を下げ元気にお礼を言った

「お仕事忙しいのに本当にありがとうございました!!」

谷田さんはニコッとしながら

「樋山ちゃん一人にはさせられないからね、また何かあれば言ってよ」

と優しく一言言って仕事に戻って行った

私はそのスラッとした後ろ姿を見ながらドキドキが止まらなかった


これが私が谷田さんをファンから恋愛対象として見る事になる一番初めの出来事だった