久しぶりの実家は風呂場もリフォームされて、ゆったりと入れるようになってた。

お湯に浸かりながら、疲れを解すように肩を回したり首を回したりしながら
温まると、そのままベッドに倒れ込むように眠りについた。

スマホのアラームが鳴り響くのは10時半。

まだ眠い体を起こして、早々に着替えを済ませると洗面所で顔を洗って
引っ越しの荷入れ時間を待つ。


スマホが着信をつげて、すぐ近くまで業者のトラックが来ていることを知る。

迎え出て引っ越しの荷物を部屋の中へと運び入れると、
そのまま玄関の鍵をかけて愛車へと乗り込んだ。


父さんが入院している、来週からの俺の職場にもなる病院へと向かう道中、
駅前の駐車場に車をとめて高校生時代に何度も通ってお世話になった食堂へと立ち寄る。

帰ってくるたびに、恋しくなる懐かしい『からあげ丼』で食を満たすと
景色が変わりすぎた街中を目的地へと車を走らせた。


午後に入ったと言うのに来客用の駐車場には沢山の車が停まっていた。
救急車がサイレンを鳴らしては、救急口から建物の中へと吸い込まれていく。


そんなサイレンの音に反応してしまう。
この病院が新しい俺の職場になる。

大学病院と交互に、ドクターヘリも受け持っている病院。

救急車のサイレンの後に、今はこれから働く病院がドクターヘリを受け持っているのか
ヘリの音も屋上へと近づいていく。


空を見上げて太陽の眩しさに目を少し細めた後、
車のドアを閉めて病院内へと足を踏み入れた。