花火を見た後、私たちは初めて、外で一緒に食事をして帰った。


「この後、食事でもどう?」

なんて軽く振られて、頷いてしまった私は……普段行くお店を訪ねられて、
反射的に例の居酒屋を告げる。



ムードのムの字もない、居酒屋でタンバリンを鳴らしてスタッフを呼んで注文をしながら
黒烏龍茶を飲みながら焼き鳥や、釜飯を食していく。



食事の会計の時も支払おうと財布を出したら、
先に諭吉さんを出されてしまって私の手の中には、レジで渡されたキャンディーが残された。




「ご馳走さまでした」

「こちらこそ。
 息抜きさせてもらったよ。

 遅くまで悪かったね。
 気をつけて帰るんだよ」


そう言って先生は、私が車に乗り込むのを見届けた。



ふいに救急車のサイレンが聞こえてきて、
反射的に先生も私、救急車を見つめる。



「またお仕事になりそうですか?」

「どうだろう。
 連絡が入れば行くだろうけど……」


そう言いながらポケットからスマホを取り出して見つめる。


「送りましょうか?」

「いいよ。
 歩ける距離だから。

 明日も仕事だろ、気をつけて」


そう言うと先生は私に向かって手を振る。


私もそれ以上は引き延ばせなくて、
諦めてウィンカーを出して鳥羽方面へと車を走らせた。





先生はUNAを知る人で先生の顔を見る度に……
ドキドキしてる私が居る。



そのドキドキは、祥永には感じなかったドキドキ。

感覚的には……UNAと出逢ったときに近い感情。

だけどUNAみたいに遠い人じゃなくて、
近くに感じることが出来る不思議な存在。





急接近?って言ってもいいのかな?





先生との時間を思いだしながら、
UNAのサウンドに身も心も委ねながら家路へと急いだ。