あたしは白いドアを開ける。



開けたドアの向こうにはいつもの光景がある。



「紗和、来たんだ………。」



春日がこっちに気付き、力なく笑う。

しかしそのまま窓のほうに向きを変えた。

窓の向こうには夕日があった。
木は枯れて冬の準備をしてる。



あたしがいるのは春日がいる病院。

いつもお見舞いにきてる。


春日はもう治ることは難しいらしい。

だからあたしは残りわずかな時間、一緒に居ようと決めた。



「春日、寒くなるね。」



「そうだなぁ。

紗和は寒いの嫌いだよなぁ。」



「寒いのは嫌いぃ。」



寒いと冷たくなる……。
青白い顔は怖くて嫌。




「今日ね、CD買ってきたよ!!

春日の好きな洋楽のっっ!」



あたしは鞄からCDを出す。


「別に良かったのに。

ありがとうな。毎日聞くよ。」



「…………うん。」



なんかまた痩せてきてる……。


できれば死なないでほしい。

完治はあり得ないの……?



告白して何もなかった。


そして病気。




あたしと春日はキスをしたり手をつないだりしたことがない。



「紗和、好きだよ………。」


春日は窓を見ながら呟く。

その目は少し涙ぐんでる。


あたしは好きって言われて嬉しいと思う。

けど悲しい気持ちにもなる。




春日の言い方はまるで………

最後みたいだから。