ーいいね、ああいう奴は。
俺の近くには居ないな。
崇みたいに、寂しがりでもなくて。
誰からも、孤立している。
それが楽だと考えている。
そんな存在。
何よりも。
あの、引力。
「…使えそうなんだよなぁ」
独り言だった筈が。
「えっ?何?」
カウンターに今来たばかりの子に拾われてしまったらしい。
「ううん。何でもないよ。」
なるたけ優しく、穏やかに、笑って。
「何飲みます?」
接客に戻る。
それでも、俺の頭の中では、着実に彼の入るスペースが開かれ、ぽっかりと空いていた部分にぴたりとハマるピースを見つけた、と思った。
すぐに必要な訳じゃない。
けど、きっと必要になってくる。
問題は、どうやって手に入れるか、だ。
手段は。
「慎重に選ばないと、ね。」
メニュー片手に悩む客に忠告するかのようにして。
自分自身に注意した。


