Live as if you will die tomorrow

「ちょっと、ごめんね」


俺としていた会話の事なんて上の空で、今来た男に見入っている女に、一応断りを入れてから、一番端に向かう。





「こんばんは、初めまして。お兄さん、見ない顔だね?」



ぼんやりとスツールに腰掛けていた男は、目だけで俺を捉えた。


ーお、反応した。


茶色い目は、澄んでいて、どこか儚げでもあった。


意外に思ったのは、なんとなく無反応なんじゃないかと予想していたからだ。

が、案の定直ぐにフイと逸らされる。





ー話しかけられるのが、嫌か?


纏う空気が、ピリピリしている。

接客業をやっていると、相手の感情というのは、外見に大体滲み出ているということを知る。

だからこそ、この男が楽しい会話を求めて、ここに来たのではない事は直ぐに察することが出来た。



「何飲む?」




笑い顔のまま、訊ねれば。




「…ソルティドッグ」



一拍置いた後、返ってくる。



「了解」


その日は、視線は二度と、俺とは交わらなかった。