Live as if you will die tomorrow

「実はー」


グロスで引き立てられた、ピンク色のぽてっとした唇が開こうとしたその時。


「?」


一瞬、店内の雰囲気が、騒ついた気がして、俺はカウンターに両手を付いたまま、ふと目を上げる。


目の前の女も同じく、入り口の方を振り返った。




ー誰だ、あれ。



見たことのない男が、ポケットに手を突っ込んだまま、遅くもなく早くもないスピードで、こっちに向かって歩いて来る所だった。


誰かが溜め息を漏らすほど。


整った顔立ちの男。


幼さは欠片もないが。

大人の男にあるような、汚さもない。

老いがない、というべきか。

色気がある、というべきか。


それも狙っている訳ではない、自然体。


年齢は、、読めない。



誰もが引き寄せられるけれど、近づくのが躊躇われる。


そんな空気を纏った男。


髪の色は白金。


「ー綺麗」


と、今まで話していた女が思わずと言うように零し、俺もそれに同意せざるを得なかった。



見惚れる、とはこのことか。



時間が止まったかのような空気が、彼がカウンターの端に座ったことで、静かにまた動き出す。