「…バレないように、なんとか追い込んでやりたいから、利用しない手はない。外見とかはどうなのかな。」
追い詰める方法を頭の中で組み立てていきながら、独り言ちれば、崇が直ぐに反応する。
「本人との接触は、俺は御免だぜ。愛だの恋だの上っ面だけの関係なら大歓迎だけど、そいつはちっと、泥々してるから逃げ切れる自信もねぇ。」
「わかってるよ。別にお前に頼もうとか砂粒ほども思ってない。クラブの客を持ち帰ってる時点で、関わって欲しくないし。」
「ひど!俺ちょっと今傷付いた!」
「はいはい」
崇は、情に厚い。
そして、一途だ。
女関係はだらしないけれど、一度決めてしまうと、二度と離れない。
だからこそ、オンブラを裏切らない。
そこには絶対的な自信があった。
崇が俺に、何を求めたかは知らないが。
それでも、崇が俺に懐くのに、時間はかからなかった。
崇は俺を裏切らない。
だが、裏切らないまでも、他者を慮ってしまう危うさがあった。
考え過ぎて、思いを寄せてしまう。つまり、同情してしまう。
そういう崇に、汚れ役は出来ない。
誰かを騙すのには、向いてない。
空っぽだから、空っぽな女と付き合って、はいさよなら。
難しい絡みはできない。
自分の気の赴くまま、素直に行動するだけだから。


