一重の目は、大きいが、若干目つきが悪くも見える。

俺はそれを重々自覚していて、ワザと笑みを絶やさないようにしている。

その方が、人のウケが良かった。


「ーほんと?」



葉月は、兄妹そっくりのその目を、涙でいっぱいにして、不安げに、でも期待を籠めて、俺に向けた。



「本当。どこが良い?」



酒で痛む頭のせいで、顔を顰めそうになるのをなんとか堪え、訊ねれば。



「文房具屋さん!!!」



「ーは?」



予想を遥かに超えた、威勢の良い葉月の答えが返ってきた。



「文房具…?」


「うん!!」



目を瞬かせて、繰り返すと、葉月は満面の笑みで大きく頷いた。



「あのね…」



がさがさと音を立てて、ポケットから何やら取り出し、俺に差し出す。



「?」



小さく折り畳まれた紙切れ。


受け取った俺は、膝の上に葉月を乗せたまま、身体を起こして、それを開く。



「ぴ、、ん…きゅお…る?」



お世辞にも綺麗とは言えない文字と、何かの絵。

なんとか声に出して読むと、満足気に葉月が頷いた。



「ピンキュオール!!」



興奮しているのか、頬に薄っすらと赤みが差す。


そして、にへにへと笑いながら俺の手にあった紙切れを奪い取った。