花音は静かな光を目に湛えて、俺を真っ直ぐ見つめ返してくる。
ー生意気な目だ。
そんな力持ち合わせてない癖に、この俺に挑んでくるような。
世間知らずな、目。
「私、警察には言いません。あなたを訴えることはしません。」
言い切る花音に、脅しにきたんじゃないのか、と僅かに驚いた。
だが。
「あなたは…中堀さんの、友達だから。」
続く言葉に、段々、見えてくる。
「だから、、、中堀さんのこと…もう、放してあげてください、お願いします!」
俺の前で、頭を簡単に下げた女に、虫唾が走る。
あぁ、そうだった。
この女は能天気で。
悲劇のヒロインのつもりで。
そして、誰かを救えると自惚れている。
俺の事見下すのもいい加減にしろよ。


