「…捕まりたかったような、言い方ですね。」
幾らか、緊張が解けたのか、それとも俺の言葉に気分を害したのか、花音はムッとしたようにそう言った。
「そんなわけないでしょ?けど、花音ちゃんの悪運のが強いんだから、仕方ないよ。」
負けたら、そこでゲームオーバー、なんだよ。
「俺の負け。今のうちに消した方が、いいんじゃない?その方が都合が良いじゃん。」
それが、世界のやり方だ。
向き合う形になっている俺ら。
「私、、貴方のこと、」
花音は俺の目の奥の何かを探るように、見つめ。
「赦しません。」
あろうことか、そんなことをほざく。
ー赦す、だ?
そんな崇高な事、考えてた訳?
馬鹿じゃねぇの。
「別に赦してもらおうなんて、思ってないね。」
あぁ、笑える。
本当に笑える、この女。
うざった過ぎて、気が狂いそうだ。
「あれ、もしかして、花音ちゃん直々に俺をしょっ引きたかった訳?警察に頼めば楽なのに。いいよ、付いてくよ。」
花音がそんなことを望んでない事は分かっていた。
けど、反対に分からなかった。
どうして、俺を見過ごし、ここに来たのか。
「いえ…貸しです。」
「は?」
「だから、貸しです!」
一体、何を企んでいるんだ?


