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桜舞う季節は過ぎて。
新緑が眩しい頃になっても。
俺の予想に反して、俺はルナに留まっていた。
朝遅く起き、名前のない店に寄ってから、ルナに行って、開店準備をする。
そんな日課は、当たり前のように繰り返されている。
あんなことがあってからも。
崇は何事もなかったように、ルナに来る。
葉月も、バーを手伝っている。
何も変わらない。
空生が居なくなっても。
元々、居ない方が普通だったから。
心の何処かが、空白になったような気がしても、元々空白だらけだから、よく、分からない。
ー嫌な天気だな。
名前のない店からルナに向かう途中で、快晴の空を見て、苦々しく思った。
暖かい、全ての生き物が活性化するような気温は、纏わり付くようで、好きじゃない。
結局自分にとって好きな季節等ないけれど。
ポケットに手を突っ込んで、煙草を吸うか吸わないか、迷った所で。
ルナの前に立ち尽くしている女が目に入った。
最後に見たのも、後ろ姿だった。
ー何でこんなとこに。
しかも、真昼間に。
空生がまだ居るとでも思ってるのか?
訝しく思いながら、煙草を吸うのを止めて、出方を待った。
女は何かを迷った挙句。
振り返る。
「あ。。」
相変わらず馬鹿そうな面を下げて。


