俺の言葉に、空生の表情に驚きが広がる。
「…マジかよ。ホントにしぶといな。」
なんだよ、じゃ、俺その内捕まっちゃうじゃん。
馬鹿した。
やっぱり自分の手なんか汚すんじゃなかった。
ま、捕まったら、その時にはその時。
他のやり方があるけど。
ギャンブルに負けた時みたいな、不快感の直後。
「うっ!」
俺の下になっていた空生が、俺の腹を蹴り飛ばす。
ーしくった。
俺は直接見たことはないが。
崇の情報によれば、空生は喧嘩が強いんだった。
一瞬の隙をつかれたせいで、蹴られた身体は痛く、挙句に、置いてあったストックの炭酸水に背中を強く打ち付けた。
唇が切れて、鉄の味がする。
倒れ込んだ俺を、空生は引っ張り上げて睨み付ける。
「あいつに何かあったら、許さない…」
いつだって。
死んだようだった空生の目が、怒りで燃えている。
あーあ、ダサい。
「…無駄だね。お前は…どうしたってそのまんまだよ。どんなに足掻いたって、普通の人間じゃないんだから。」
ぺろと舐めた唇の血。
俺はまだ笑えるぜ。
だって、何度も。
「愛される価値のない、人間なんだよ。愛し方も知らない癖に、どうやってあの女を守るんだよ?」
何度も何度も何度も。
教えてきただろ。
「生まれてこなきゃ、良かった人間なのに。」
俺とお前は、よく、似てるんだって。


