Live as if you will die tomorrow



「あっ、きゃぁ!お帰りー!ちょっと聞いてよ、私…」


客が静まり返ってるのはどうしてなのか。

崇が途中で口を噤んだのは何故なのか。

そんなこと考えようともしない葉月が、今しがた俺に認められたジンフィズの話を真っ先に報告しようと声を上げる。


ルナに入ってきた、空生に。




が。


ガシャーーーーーーン!!!


直ぐに。

「きゃああっ!!!」

それが悲鳴に変わった。


視界の端に、スツールが吹っ飛んでいくのが見えた。



「どーいうことだよっ!?」



あーあ。


なんだ。


あの時。

俺が花音を歩道橋の上から突き飛ばした時。

お前が俺を見ていたことは百も承知だ。

だけど、お前は、俺を選ぶと思ったのに。



「…何の事?」



顔も見たくない。


注いでるカクテルの方が、よっぽど合理的に存在してる。



「お前、自分が何したのかわかってんの?」


わかってるさ。


「んー?なんだっけなぁ。最近物忘れがひどくって…」


目障りで苛つく原因を消した、ただそれだけのことでしょ。

なのに、空生は怒っている。

らしくない。


「っふざけんじゃねぇよ!」


ガチャガチャガチャーーーン


響くガラスの砕け散る音。

カウンターの上に並べてあった瓶がすべて薙ぎ倒され。

俺が注いでいるグラスにもそれが当たって割れた。


悲鳴が数々上がって、目の前にいた客の男も慌てて席から下りて、居なくなった。