ルナでのステージをすっぽかす時。
大体空生は、屋上か大見歩道橋で見つかった。
『あいつは、あそこが好きなんだよな』と。
崇がよくそう言っていた。
だけど、俺は一度も、行ってみたことがなかった。
カンカンカンカン
道はまだ幾らか人通りがある。
だけど、歩道橋を使う人間は、余りいない。
むしろ暗くて、よく見えない。
あぁ、好都合だな。
耳障りな靴の音はひとつ。
「見つけた。」
今直ぐ、消してやるから。
お前に空生はやらない。
俺達の中には入れない。
お前と俺とは違う。
へらへらとなんとなく、毎日生きている、そんなお前とは違うんだ。
だから、さっさと自分の所へ帰って、引きこもって閉じこもって、鍵閉めて、出てこなかったら良かったのに。
なんで、また出てきちゃうのさ。
歩道橋の真ん中で、一度立ち止まって下を見る花音を目にして、俺はまた笑った。
花音とは違い、音も立てずに後を追い掛けて。
今上ったのとは反対側の階段に足をかけた花音の後ろ姿を捉える。
「っとに、しぶとい女だね。」
茶色い髪が、ふわりと舞った。
自分の手を汚すのは、嫌なんだけど。
これは、賭けだから、仕方ないね。
さて、どっちが勝つでしょう?


